個体群生態学会とは

個体群生態学会は,個体群生態学の研究を普及・発展させることを目的に1961年に設立されました.生態学の特定分野に焦点を当てた学会は,世界的にもユニークで,学会の名称に「日本」が含まれていないことにもその特徴が表れています.学会では,「数の多い生物とまれな生物がいるのはなぜか?」,「普段目立たない生物が時々大発生するのはなぜか?」,「絶滅はどのようにして起きるのか?」など個体数や分布に関する生態学の中核をなす課題の解明に加え,生物多様性の進化や集団生物学にかかわる基礎的,応用的分野の研究が展開されています.これらの研究は,生物学の基礎分野として重要であるとともに、生物多様性の保全や生態系サービスの持続性といった地球規模での課題にたいして重要な科学的エビデンスを提供します.個体群生態学会はこれら課題への挑戦を通して,国内外に誇れる多数の優秀な生態学者を育ててきました.また小規模な学会の特徴を生かし,年次大会では毎回特色あるシンポジウムが企画され,近年では学会員以外の招致も含めた分野横断的な企画も多くなっています。

 

学会の設立当初から英文誌(Researches on Population Ecology,2000年からはPopulation Ecology [Springerよりの発行を経て現在はWileyより])を発行し,研究成果を世界に発信することによって,国際誌として高い評価を得てきました.現在、Population Ecologyは、Ecological Research(日本生態学会)、Plant Species Biology(種生物学会)との一括した出版契約のもとで、連携してWileyより出版されており、さらに発展することが期待されます。

個体群生態学会には、個体群生態学および関連する生物科学や応用科学に興味を持たれる方はどなたでも入会することができますので,是非ご参加ください.

 

 

個体群生態学会会長 辻 和希